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2012年3月30日 (金)

庫外流出の正倉院文書を再発見!

正倉院宝庫には膨大な分量の奈良時代古文書が伝わり、大切に保管されてきました。しかし、江戸時代末から明治初年にかけての時期に、わずかに民間に流れたものがあります(約80件とも)

民間に流れた文書のうち、明治以降に一度でも書物や写真で紹介されたものは、現在までにそのほとんどが所在地を確認されていますが、稀に所在不明のものがあります。このたび再発見され、奈良国立博物館の所蔵となった文書も、その一つです。

Photo_8Photo_9           ※画像はいずれも所蔵館である奈良国立博物館より提供を受けました。無断転載を禁じます。

再発見されたのは、「万昆嶋主解(まこんのしまぬし・げ)という不参解(休暇申請の文書)。未装丁の1紙で、裏は「写千巻経所食物用帳断簡」となっています。表裏とも、天平宝字2年(758)の作成となります。

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本文書は、戦前は名古屋の板津七三郎氏が所蔵していました。『大日本古文書』編年文書第25巻(昭和15年刊)に掲載された釈文によって、その内容は知られていましたし、また「万昆嶋主解」の面については、若山善三郎編『尾参勢郷土史料』(昭和14年刊)等に写真が掲載されていました(丸山裕美子「板津七三郎所蔵「万昆嶋主不参解」について」〔西洋子・石上英一編『正倉院文書論集』青史出版、2005年〕参照)

戦争が厳しくなった昭和18、9年頃、文書は板津氏の手を離れます。神田にある一誠堂書店の酒井宇吉氏の回想によれば、名古屋でこの文書を1200円で購入したそうです(反町茂雄編『紙魚の昔がたり 昭和篇』八木書店、1987年)。しかし、その後は所在が分からなくなり、庫外流出の正倉院文書を集大成した『正倉院文書拾遺』(国立歴史民俗博物館、1992年)にも、「所在不明文書」として掲げられています。

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このたび、個人所蔵を経て、奈良国立博物館が購入・所蔵することになり、今後は一般に公開される機会が生まれるとともに、学術研究にも大いに役立つことが期待されます。特に本文書は、裏打ちも修復も施されていない、未装丁の状態であるため、奈良時代当初の姿そのままで伝わっている点で、非常に貴重な史料と言えるでしょう。

下記の日程で、展示が予定されています。奇跡的に現代によみがえった正倉院文書を、ぜひ間近に味わってみてください。

2012年6月19日(火)~7月16日(月・祝)

奈良国立博物館 「名品展 珠玉の仏教美術」にて展示

※「万昆嶋主解」の面を展示する予定で、裏の「写千巻経食物用帳断簡」の面は見られません

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2012mei/2012mei_83_makon.html

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diamond【奈良博】奈良国立博物館の所蔵品になった正倉院文書について

http://www.narahaku.go.jp/news/download/2012makon_press.pdf

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