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2012年5月

2012年5月16日 (水)

『正倉院紀要』34号が刊行されました

正倉院のホームページにて、全文をPDFファイルで読むことができます。

正倉院HP http://shosoin.kunaicho.go.jp/shosoinPublic/top.do

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目次
七条織成樹皮色袈裟の復元模造……………………………白井進
犀円文錦の研究………………………………………………尾形充彦
赤漆文欟木御厨子と〈赤漆欟木厨子〉………………………西川明彦
年次報告
聖語蔵経巻『神護景雲二年御願経』について………………飯田剛彦

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正倉院文書との関連では、飯田論文が、聖語蔵に伝来する経巻のうち「神護景雲二年御願経」と分類されるものについて、実はそれらの大半が宝亀年間の写経事業にかかるものであることを指摘します。正倉院文書中に遺された手実記載と、現物の経巻から知られる手がかり(末尾紙背の書入れ、紙数、用字・筆跡など)とを総合的に検討して、巻ごとに書写を担当した経師を特定し、今更一部一切経の書写事業(宝亀5年5・6月~宝亀7年6月)に属するものが大部分を占めることを明らかにしています。一覧表で「神護景雲二年御願経」の詳細な調査データが提供された点でも、貴重な成果と言えます。

最近では、藤田美術館所蔵『大般若経』(魚養経)についても、詳細な調査データとともに経巻末尾紙背の書入れ(校正記)の全文が報告されており、やはり宝亀年間の書写にかかることが指摘されています野尻忠「藤田美術館所蔵『大般若経』(魚養経)の調査研究」〔科研基盤研究(A)「奈良時代の仏教美術と東アジアの文化交流」[課題番号20242004、研究代表者:湯山賢一、2008~2010年度]報告書[奈良国立博物館、2011]第1分冊)。飯田氏も述べられるように「やや味気ない印象を抱かせる」奈良時代最後の書写事業ですが、「現物の経巻との対比でより豊かな内容が明らかになる可能性」を予感させてくれます。

西川論文は、正倉院宝物中に遺された「赤漆文欟木御厨子」(北倉2)について、これが『国家珍宝帳』に記載される2つの有名な厨子――歴代天皇に伝領された〈赤漆文欟木御厨子〉と、百済最後の王である義慈王から藤原鎌足に贈られた〈赤漆欟木厨子〉――の、いずれに対応するものであるのかに迫ります。文献記録の精査や厨子の材質・形状、さらには納入物が物理的に厨子に納まるのかといった問題など、様々な角度から考察されています。

年次報告では、東大寺開地図のうちの越前国足羽郡糞置村地図(天平宝字3年、天平神護2年)や、墨書もある薬袋類10種について、実体顕微鏡やX線回析・蛍光X線分析、赤外線カメラなどを駆使した調査成果が、鮮明な挿図とともに報告されています。

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