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2014年11月19日 (水)

第33回定期研究会が開催されました

2014年10月25日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

1第1報告の武内美佳氏「続々修四十七帙第一巻の断片復原と基礎的考察」は、同巻に貼り込まれた多数の経典破片に注目して、経巻名を比定した上で本来の姿を復原し、その性格について検討しようという、新しい試みでした。数文字しか残らない断片を、一点一点、大蔵経のデータベースを利用して検討するという、大変根気のいる作業が基礎となっており、その上で作成された復原図・紙片模式図は、本来の経巻の姿とともに、破損の状況、それを続々修に貼り込んでいった作業風景をも彷彿とさせてくれます。

2第2報告の矢越葉子氏「東大寺図書館所蔵経巻の検討―聖語蔵経巻と正倉院文書を手がかりに―」は、昨年の同氏報告の続編とも言うべきもので、東大寺図書館の所蔵する経巻のうち、写経所文書との対比が可能な宝亀年間書写にかかるものを探索しようとするものでした。各経巻の料紙の大きさや界線の高さ、一紙あたりの行数や一行あたりの字数、あるいは筆跡など、様々な手がかりを積み重ねた研究でしたが、これらは東大寺図書館による近年の写真帳作成と目録化作業の賜物と言うことができるでしょう。

3第3報告の田島公氏「古代史研究における高精細デジタル画像の活用とその未来―「壬戌歳戸籍」問題の解明と「東南院文書」研究の進展」は、かつて林陸朗氏・彌永貞三氏・岸俊男氏らによって議論が交わされた、『続日本紀』の一部写本に紛れ込む「壬戌歳戸籍」の文字について、全く新たな根拠を用いて、それが承和九年壬戌歳であることを論証する、興味深いものでした。あわせて、報告者が代表をつとめる科研の成果として、東南院文書の高精細画像が公開されたことと、その活用法についての紹介もなされました。

今回の3報告は、いずれもスライドを活用したもので、工夫の凝らされた画像が多く提示されることで理解の助けになるだけでなく、画像データの持つ情報量の豊富さに改めて気付かされるものばかりでした。

次回研究会は、2015年10月24日(土)、会場は今年と同じく、大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル・6階ホール)で開催予定です。

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