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2015年11月

2015年11月13日 (金)

正倉院文書研究14号が刊行されました

会誌最新号が刊行されました。

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正倉院文書研究会編 『正倉院文書研究』 14号 

吉川弘文館、2015年11月13日出版 定価:本体4,500円+税

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b209215.html

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◇◇ 目 次 ◇◇

南部 曻  御野国戸籍の「妾子」

石上英一  『東大寺要録』巻一所引延暦僧録文「仁政皇后菩薩」伝について

堀部 猛  日本古代の勘籍制

杉本一樹  皆川先生と正倉院古文書調査

渡部陽子  書評と紹介 尾形充彦著『正倉院染織品の研究』

口絵 赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾裏打文書(解説 飯田剛彦)

2015年11月 3日 (火)

第34回定期研究会が開催されました

0_52015年10月24日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

第1報告の栄原永遠男氏「正倉院文書の構成―吉田孝氏の表の再検討―」は、1965年に吉田孝氏によって発表された、正倉院文書の全体像を把握しようとする「正倉院文書の構成表」について、その画期性を評価しつつも現在の研究状況からすると問題点も多いと指摘し、新たな「正倉院文書の構成表」を提示するものでした。「反故化の契機」に注目した吉田氏の表では抜け落ちてしまった、反故紙が写経所の「反故函」に入るまでの様々なパターンを丁寧に拾い上げており、ここ半世紀の写経所文書研究の飛躍的な進展を反映した内容と言えるでしょう。

第2報告の中川ゆかり氏「渤海国書における「彼国」と「貴国」―相手側を指す「彼」の用法から―」は、中国語の遠称表現である「彼」に対し、日本語には中称「そ」(聞き手の領域を示す)と遠称「か」(話し手・聞き手のいずれにも属さない領域を示す)とが存在することを前提に、正倉院文書中における「彼」の用例を検討していきます。相手を指す「彼(そ)」は対等か目下に対して用いられることを論じた上で、渤海からの国書(外交文書)における日本を示す「彼国(そのくに)」から「貴国」への移行を、渤海の外交方針と絡めて論じる、興味深い内容でした。

1_3第3報告の栄原永遠男氏「正倉院文書からみた奈良時代の悔過」は、奈良時代の悔過を定式化の進んだものと理解してきた従来の研究に対し、正倉院文書に見える個々の事例を再検討することで、開催時期や開催場所、本尊なども未確定な多様な様相を指摘するものでした。断片的な史料から数多くの情報を引き出し、その具体像に迫る手際は鮮やかなものでした。定式化の時期を9世紀以降と見通しつつ、平安時代以降の展開については今後の課題とのことでした。

2第4報告の山口英男氏「正倉院文書マルチ支援システム SHOMUS の概要」は、先ごろ公開の始まったデータベースシステムの紹介でした。ここでは断簡の状態や『大日本古文書』の本文・画像をみることができ、また前後に接続する断簡へジャンプすることもできます。また「研究文献」をクリックすれば、その断簡を引用した論文名とその頁、著者名などの情報が出てくるとのことでした。実演を交えての報告に、会場内の注目と期待が集まりました。

次回研究会は、2016年10月29日(土)、会場はこれまでとは変わり、奈良女子大学(奈良市北魚屋東町、近鉄奈良駅徒歩5分)で開催予定です。正倉院展で込み合う時期ですので、宿泊される場合は早めの確保をお勧めいたします。

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