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2017年10月30日 (月)

第36回定期研究会が開催されました

2017年10月28日(土)午後、東大寺総合文化センター・小ホールにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

開会挨拶では代表の栄原永遠男氏から、会誌『正倉院文書研究』15号の刊行が報告されるとともに、本誌は査読誌であり、若手研究者にも積極的な投稿をお願いしたい旨が述べられました。

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第1報告大杉綾花氏「能恵所持大般若経と聖語蔵乙種第215号大般若経について」は、東大寺塔頭尊勝院の経蔵である聖語蔵に残された、239巻におよぶ経巻群の性格について検討するものでした。地獄からよみがえり大般若経の書写を完遂させたという、院政期の僧・能恵が書写した写経は、早くに散逸してしまいましたが、鎌倉時代になって東大寺でそれを書き継ぐ事業がおこなわれました。大杉氏は聖語蔵経巻の奥書の検討などから、この239巻の経巻群こそが能恵の写経を書き継いだものであるとする、刺激的な内容でした。

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第2報告の
濱道孝尚氏「奈良時代の仏教受容についての一考察―『法華経』関係論疏の書写を手がかりに―」は、法華経の各種注釈書が写経所でどのように書写されていたかという視点から、奈良時代における仏教受容の特質を明らかにしようとするものでした。特に女人救済への関心から『法華玄賛』が注目され、積極的に書写されたとの指摘は、興味深いものでした。

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第3報告の
山口英男氏「正倉院文書に見える「口状」について」は、「口状」という単語の意味を再検討するものでした。日本語辞典では「口上、口頭で述べること」などと説明されているのですが、正倉院文書での用例を検討していくと、口頭伝達の内容を聞き手側が書き取った書面と理解すべきであるとして、組織としての情報共有のあり方に再考をせまる内容でした。

今回の研究会は、正倉院展の初日にあわせ、ゆかりの深い東大寺境内を会場に開催されました。台風の影響が心配されたものの、約50名の参加者を得て、盛況のうちに終えることができました。

次回は2018年10月27日(土)、奈良女子大学で開催予定です。ぜひご予定ください。

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