和歌山県博・特別展に「御毛寺知識大般若経」など展示中【終了しました】
4月23日から始まった和歌山県立博物館の特別展「きのくにの大般若経」では、「小川八幡神社大般若経」(小川八幡経)をはじめとして、奈良・平安時代書写の経巻を含めた100点を超える大般若経が展示されています。
小川八幡経は、4年間にわたる和歌山県立博物館と東京大学史料編纂所を中心とした共同学術調査が2022年3月に完了し、そのタイミングで、和歌山県博による県内伝来大般若経調査のこれまでの蓄積とあわせた特別展の開催となったものです。
小川八幡経は1978年に薗田香融氏によってその存在が学界に速報され、奥書の内容と120巻もの奈良時代写経を含むことで一躍注目を浴びました。その全貌が明らかにされることを待たれていた史料群であり、今回が初めての展示ともなります。
小川八幡経の奈良~平安前期の書写巻では下記などが展示されています(平安中期以降書写巻も多数展示)。
・日本霊異記に見える紀伊国那賀郡の「弥気山室堂」との関係が推定される御毛寺(御気院)が奥書に登場する天平13~14年書写の知識経
・正倉院文書にも登場する上毛野伊賀麻呂など、右京六条在住の官人による書写巻
・信濃国佐久郡で仁寿3年に書写された大坂真長願経
・「寛平九年」「清水寺蔵本」の記載と「一日堂一切経」の押印を持つ巻
全600巻の大般若経について、時代・形態・書風などの異なるセット・経巻が一堂に展示され、それらを会場で見比べることができる点でも貴重な機会といえそうです。会期6月5日(日)まで(図録は郵送でも購入可、¥1200+送料)。