『正倉院文書目録』九(続々修四)が刊行されました
東京大学史料編纂所編纂『正倉院文書目録』九(続々修四)が東京大学出版会より刊行されました(3月刊、税込定価¥19,800)。
https://www.utp.or.jp/book/b10030144.html
********(以下、編纂担当者寄稿)*********
本冊には、続々修第13~16帙の4帙合計35巻を収録しました。内容は、奈良博目録の分類による第二類(経巻歴名)のうち、「経巻歴名」中・下、「奉請経」上・下です。第13帙・第14帙は、第12帙(「経巻歴名」上)に続いて各種の経巻目録類を集成しています。第15帙は櫃ごとの経巻検定・出納記録、第16帙は奉請経関係の文書・書状・帳簿を多く含んでいます。前者には、櫃等に貼り附けられた痕跡のあるものが何点もありました。
注目される事例をいくつか紹介します。第15帙第4巻裏(一次文書)にある天平勝宝4~6年の4通の奉請文(1通は余白のみで空)は、裏面の墨うつり(左文字)の存在から、もとは継文に編成されていたことがわかり、墨うつりを手掛かりに欠損文字も復原できました。前欠となっている天平勝宝4年11月9日の文書(古25/53~54では「東大寺三綱牒」とする)は、冒頭4行が読み取れた結果、「律供牒」であることが明らかになりました。南都六宗や律宗(衆)の関係史料として注目されます。また、これまで知られなかった(天平勝宝4年)某所経疏論返送文(7行分)の存在も墨うつりから判明しました。
第16帙第8巻は、天平8年9月から玄昉将来経を順次借り出して書写した際の記録「経本請和上所帳」です。続修別集47①裏が抜き取られているほかは、奈良時代以来の貼り継ぎを伝えていると思われます。『大日本古文書』では見落とされたらしい朱書が数箇所あり、書面の日付を特定できたものがあります(古7/68~69の書面が天平9年3月9日付と判明)。当初は各書面を借り出し日ごとに作成し、そのあとで帳に編成された状況など注目できそうです。
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