定期研究会

2016年11月21日 (月)

第35回定期研究会が開催されました

2016年10月29日(土)午後、奈良女子大学におきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

第1報告の三舟隆之氏「写経所における給食の復元」は、食材や調理器具、食器についての史料を丹念に検討した上で、天平宝字6年の二部大般若経書写事業を例に古代の給食を復元したものです。実際に復元実験も行われており、支給量が一日の食料にしては多過ぎることから、余剰分が給与として支給されたとの見方を支持するなど、古代の下級官人の実態に迫る内容になっています。

第2報告の小倉慈司氏「宮内庁書陵部所蔵の奈良朝写経と聖語蔵」は、関係する手実や聖語蔵所蔵の僚巻などに言及しながら、書陵部所蔵の奈良朝写経の全体像を示したものです。五月一日経、神護景雲経、今更一部一切経や「中臣之寺」印を有する経巻があり、これらの多くが「宮内庁書陵部収蔵漢籍集覧」において画像公開されていることが紹介されました。画像は精細で大変見やすいものになっています。

第3報告の山下有美氏「天平勝宝2年~天平宝字2年の東大寺写経所と写書所」は、当該期の東大寺写経所と写書所について全面的に検討を加えたものです。両所が別組織であるとの山本幸男氏の指摘を踏まえ、案主や雑使の実態、発給文書について詳細に検討し、宝字2年の東大寺写経所は紫微中台管轄の写経機構として御願経を担ったことを明らかにし、さらに議論を場の問題に展開して、「経堂」と「書堂」を事務局と作業場とする理解を示しています。史料・表ともに豊富で、大変熱のこもった発表になりました。

第4報告の遠藤基郎氏「史料編纂所閲覧室での東南院文書の高精細画像の提供」は、学術創成研究費(田島公研究代表)によって撮影され、データベースが構築された東南院文書の公開について紹介したものです。現在、高精細の画像が史料編纂所の図書閲覧室の端末で公開されていることを、実演を交えながら報告していただきました。

今回の研究会はこれまでと異なり、奈良での開催でしたが、50名以上の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。

次回は2017年10月28日(土)、東大寺総合文化センター 小ホールで開催予定です(東大寺南大門内、東大寺ミュージアムと同じ建物)。 ぜひご予定ください。

2016年9月 8日 (木)

第35回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催する予定です。

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日時:
2016年10月29日(土) 13:30~17:40
会場:
奈良女子大学文学部N棟2階、N202教室 【例年と異なります、ご注意ください】
〒630-8506 奈良市北魚屋東町 近鉄奈良駅より徒歩5分 

http://www.nara-wu.ac.jp/nwu/intro/access/campusmap/index.html

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研究報告:
三舟 隆之「写経所に見える給食形態」(仮)
山下 有美「筆跡からみた天平宝字二年の写経所-案主・雑使・校生-」(仮)
小倉 慈司「宮内庁書陵部所蔵の奈良朝写経と聖語蔵」(仮)
遠藤 基郎「史料編纂所閲覧室での東南院文書の高精細画像の提供」
(以上、敬称略)
 17:40~18:00 総会
 18:30~    懇親会

※会員にはEメール、または郵送にて、案内文をお送りしています(10月2日頃着予定)。もしいずれも届かないようでしたら、事務局までご一報ください。
※年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします(当日のお支払いはご遠慮ください)。

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非会員の方もご参加いただけます(当日は会場整理費〈500円程度〉が必要です)。
正倉院展会期中のため、奈良市内での宿泊は混雑が予想されます。宿泊をご予定の方は、早めの確保をお願いします。
お問い合わせは正倉院文書研究会事務局まで。

 

 

 

 

 

 

 

2015年11月 3日 (火)

第34回定期研究会が開催されました

0_52015年10月24日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

第1報告の栄原永遠男氏「正倉院文書の構成―吉田孝氏の表の再検討―」は、1965年に吉田孝氏によって発表された、正倉院文書の全体像を把握しようとする「正倉院文書の構成表」について、その画期性を評価しつつも現在の研究状況からすると問題点も多いと指摘し、新たな「正倉院文書の構成表」を提示するものでした。「反故化の契機」に注目した吉田氏の表では抜け落ちてしまった、反故紙が写経所の「反故函」に入るまでの様々なパターンを丁寧に拾い上げており、ここ半世紀の写経所文書研究の飛躍的な進展を反映した内容と言えるでしょう。

第2報告の中川ゆかり氏「渤海国書における「彼国」と「貴国」―相手側を指す「彼」の用法から―」は、中国語の遠称表現である「彼」に対し、日本語には中称「そ」(聞き手の領域を示す)と遠称「か」(話し手・聞き手のいずれにも属さない領域を示す)とが存在することを前提に、正倉院文書中における「彼」の用例を検討していきます。相手を指す「彼(そ)」は対等か目下に対して用いられることを論じた上で、渤海からの国書(外交文書)における日本を示す「彼国(そのくに)」から「貴国」への移行を、渤海の外交方針と絡めて論じる、興味深い内容でした。

1_3第3報告の栄原永遠男氏「正倉院文書からみた奈良時代の悔過」は、奈良時代の悔過を定式化の進んだものと理解してきた従来の研究に対し、正倉院文書に見える個々の事例を再検討することで、開催時期や開催場所、本尊なども未確定な多様な様相を指摘するものでした。断片的な史料から数多くの情報を引き出し、その具体像に迫る手際は鮮やかなものでした。定式化の時期を9世紀以降と見通しつつ、平安時代以降の展開については今後の課題とのことでした。

2第4報告の山口英男氏「正倉院文書マルチ支援システム SHOMUS の概要」は、先ごろ公開の始まったデータベースシステムの紹介でした。ここでは断簡の状態や『大日本古文書』の本文・画像をみることができ、また前後に接続する断簡へジャンプすることもできます。また「研究文献」をクリックすれば、その断簡を引用した論文名とその頁、著者名などの情報が出てくるとのことでした。実演を交えての報告に、会場内の注目と期待が集まりました。

次回研究会は、2016年10月29日(土)、会場はこれまでとは変わり、奈良女子大学(奈良市北魚屋東町、近鉄奈良駅徒歩5分)で開催予定です。正倉院展で込み合う時期ですので、宿泊される場合は早めの確保をお勧めいたします。

2015年9月25日 (金)

第34回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催されます。

                       pisces                            

日時:2015年10月24日(土) 13:30~17:30
会場:大阪市立大学文化交流センター
    大阪駅前第2ビル・6階ホール(JR大阪駅前 徒歩約10分)
    
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/academics/institution/bunko/index.html
研究報告:

 栄原永遠男「正倉院文書の構成-吉田孝氏の表の再検討-

 中川ゆかり「渤海国書における「彼国」と「貴国」-相手側を指す「彼」の用法から-

 栄原永遠男「正倉院文書からみた奈良時代の悔過」

 山口英男 「正倉院文書マルチ支援データベース SHOMUS の概要」
                                              <敬称略>

※〈共催〉SHOMU科研グループ(基盤研究(A)正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化)
※会員には近日中に案内文を発送いたします。年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします(当日のお支払いはご遠慮ください)。

                       pisces

非会員の方もご参加いただけます(当日は会場整理費〈500円程度〉が必要です)。研究会終了後、懇親会も予定しております。

お問い合わせは正倉院文書研究会事務局まで。

2014年11月19日 (水)

第33回定期研究会が開催されました

2014年10月25日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

1第1報告の武内美佳氏「続々修四十七帙第一巻の断片復原と基礎的考察」は、同巻に貼り込まれた多数の経典破片に注目して、経巻名を比定した上で本来の姿を復原し、その性格について検討しようという、新しい試みでした。数文字しか残らない断片を、一点一点、大蔵経のデータベースを利用して検討するという、大変根気のいる作業が基礎となっており、その上で作成された復原図・紙片模式図は、本来の経巻の姿とともに、破損の状況、それを続々修に貼り込んでいった作業風景をも彷彿とさせてくれます。

2第2報告の矢越葉子氏「東大寺図書館所蔵経巻の検討―聖語蔵経巻と正倉院文書を手がかりに―」は、昨年の同氏報告の続編とも言うべきもので、東大寺図書館の所蔵する経巻のうち、写経所文書との対比が可能な宝亀年間書写にかかるものを探索しようとするものでした。各経巻の料紙の大きさや界線の高さ、一紙あたりの行数や一行あたりの字数、あるいは筆跡など、様々な手がかりを積み重ねた研究でしたが、これらは東大寺図書館による近年の写真帳作成と目録化作業の賜物と言うことができるでしょう。

3第3報告の田島公氏「古代史研究における高精細デジタル画像の活用とその未来―「壬戌歳戸籍」問題の解明と「東南院文書」研究の進展」は、かつて林陸朗氏・彌永貞三氏・岸俊男氏らによって議論が交わされた、『続日本紀』の一部写本に紛れ込む「壬戌歳戸籍」の文字について、全く新たな根拠を用いて、それが承和九年壬戌歳であることを論証する、興味深いものでした。あわせて、報告者が代表をつとめる科研の成果として、東南院文書の高精細画像が公開されたことと、その活用法についての紹介もなされました。

今回の3報告は、いずれもスライドを活用したもので、工夫の凝らされた画像が多く提示されることで理解の助けになるだけでなく、画像データの持つ情報量の豊富さに改めて気付かされるものばかりでした。

次回研究会は、2015年10月24日(土)、会場は今年と同じく、大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル・6階ホール)で開催予定です。

2014年9月25日 (木)

第33回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催されます。

                            horse

日時:2014年10月25日(土) 13:30~17:30
会場:大阪市立大学文化交流センター
    大阪駅前第2ビル・6階ホール(JR大阪駅前 徒歩約10分)
    http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/academics/institution/bunko/index.html
研究報告:
    武内 美佳「続々修四七帙第一巻(写経破紙)の断片復原と基礎的考察」
    矢越 葉子「東大寺図書館所蔵経巻の検討―「神護景雲二年御願経」と正倉院文書を手がかりに―
    田島 公 「古代史研究における高精細デジタル画像の活用とその未来―「壬戌歳戸籍」問題の解明と「東南院文書」研究の進展―
                                        <敬称略>

※〈共催〉SHOMU科研グループ(基盤研究(A)正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化)
※会員には近日中に案内文を発送いたします。年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします。

                             horse

非会員の方もご参加いただけます(当日は資料代が必要です)。研究会終了後、懇親会も予定しております。

お問い合わせは正倉院文書研究会事務局まで。

2013年10月31日 (木)

第32回定期研究会が開催されました

2013年10月26日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。台風の接近が心配されたものの、当日は北海道から九州まで、各地から参加者が集まりました。


01_6第1報告の
石上英一氏「『東大寺要録』巻一所収延暦僧録文「仁政皇后菩薩」伝について」では、鑑真とともに来日した中国僧・思託が撰したとされる表題史料について、本文の校異・注解・現代語訳を提示されました。難解な史料に果敢に取り組まれた貴重な成果であるとともに、対句や平仄の分析による校訂の試みとしても注目されます。

第2報告の02_3大艸啓氏「正倉院文書に見える「供奉礼仏」について」では、上日帳や食口案に見える「供奉礼仏」記載について、国家規模の盛大な法会への参列・奉仕を意味するものと論じられました。『続日本紀』などに、儀式参加者として記録された「百官及び士庶」の内実を垣間見ることができるという点でも、興味深いご報告でした。

第3報告の03_3矢越葉子氏「東大寺所蔵経巻の検討―「神護景雲二年御願経」と正倉院文書を手がかりに―」は、聖語蔵に残る宝亀年間書写経巻の研究進展を受けて、東大寺所蔵経巻からその僚巻を指摘されました。巻末紙背の書入、写経所文書の記載、写経料紙の規格、経師の筆跡など、様々な手法を駆使しての検証の鮮やかさが光りました。

 04第4報告の南部曻氏「御野国戸籍の「妾子」―味蜂間戸籍・加毛郡戸籍の相違と造籍式―」は、2012年に太宰府市・国分松本遺跡から発見された「嶋評」木簡を受けて、「御野型」「西海道型」と呼ばれる戸籍の形式を再検討しようとするものでした。それらの基礎となる造籍式のあり方をめぐり、活発な質疑応答が交わされました。

 次回研究会は、2014年10月25日(土)、会場は今年と同じく、大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル・6階ホール)で開催予定です。

2013年9月24日 (火)

第32回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催されます。

                            horse

日時:2013年10月26日(土) 13:30~17:30
会場:大阪市立大学文化交流センター
    大阪駅前第2ビル・6階ホール(JR大阪駅前 徒歩約10分)
    http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/academics/institution/bunko/index.html
研究報告:
    大艸 啓 「正倉院文書に見える「供奉礼仏」について」
    矢越 葉子「東大寺聖教と正倉院文書」(仮題)
    石上 英一「東大寺要録巻一所収延暦僧録「仁政皇后菩薩伝」について」
    南部 曻 「美濃国戸籍の妾子について―味蜂間郡と加毛郡の相違―」
                                        <敬称略>

※〈共催〉SHOMU科研グループ(基盤研究(A)正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化)
※会員にはすでに案内文を郵送しております。未着の場合はご連絡ください。また研究報告が追加されておりますので、ご確認ください。あわせて年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします。

                             horse

非会員の方もご参加いただけます(当日は資料代が必要です)。研究会終了後、懇親会も予定しております。

お問い合わせは正倉院文書研究会事務局まで。

2012年11月14日 (水)

第31回定期研究会が開催されました

2012年10月27日(土)午後、大阪市立大学文化交流センターにおきまして、今年度の定期研究会が開催されました。

Aisatsu_2 代表・栄原永遠男氏による開会挨拶では、学際的視野からの正倉院文書研究がますます必要とされていること、そうした観点から美術史を専門とされる梶谷亮治氏に今回の報告を依頼した経緯が説明されました。

Hokoku1_2 第1報告の山口英男氏「正倉院文書に見える「間食」について」では、従来は「食間食」つまりオヤツとして理解されてきた奈良時代の間食(ケンジキ)について、これは「常」に対する「間」であって、定例以外で支給される食米を指すとの見解を提示されました。食間食の具体例として索餅に注目する点も興味深いものでした。

Hokoku2_2 第2報告の森明彦氏「念林老人の書風・書体・書き癖と聖語蔵「根本説一切有部百一羯摩」」は、念林老人(ネンリンノオキナ)の動向を中心に、聖語蔵経巻の画像データDVDを最大限に利用して、個々の経巻の観察から書写担当者を推定していく試みでした。以前に本サイトでも紹介した飯田剛彦氏「聖語蔵経巻「神護景雲二年御願経」について」(『正倉院紀要』34、2012年)と併せて、今後の展開が注目されます。

Hokoku3_2 第3報告の梶谷亮治氏「上楯万呂の画事」では、様々な画像資料をスライドで提示しつつ、造東大寺司の画師である上楯万呂(カミノタテマロ)による、絵画作品の製作活動について論じられました。文献史料だけでは詰めきれない製作者の問題について、美術史研究の立場から新鮮な視点が示され、報告後には質疑応答が活発におこなわれました。

第4報告の山口英男氏「SHOMU科研の概要紹介」は、今年度より4箇年計画ではじまった研究プロジェクト、科学研究費・基盤研究(A)「正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化」について、その概要が説明されました。

今回の研究会は、正倉院文書研究の学際的な広がりとともに、画像資料の利用やデータベースの構築など、種々のデータ公開が促進されつつある研究環境を反映した、多彩な内容であったかと思われます。

次回研究会は、2013年10月26日(土)、会場は今年と同じく、大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル6階ホール)で開催予定です。

2012年10月 3日 (水)

第31回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記の通り開催されます。

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日時:2012年10月27日(土) 13:30~17:30

会場:大阪市立大学文化交流センター

     大阪駅前第2ビル 6階ホール(JR大阪駅前 徒歩約10分)

     http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/academics/institution/bunko/index.html

研究報告:

  山口英男「SHOMU科研の概要紹介」

  山口英男「正倉院文書に見える「間食」について」

  森 明彦「念林老人の書風と聖語蔵所蔵伝景雲願経「根本説有部百一羯摩」」

  梶谷亮治「上楯万呂の画事」(仮題)

                                           〈敬称略〉

※共催:SHOMU科研グループ(基盤研究(A)正倉院文書の多元的解析支援と広領域研究資源化)

                       clover

非会員の方もご参加いただけます(当日は資料代が必要です)。研究会終了後、懇親会も予定しております。

会員の方には後日、郵送にて研究会のご案内をお送りいたします。あわせて年会費納入のご案内をさしあげますので、よろしくお願いいたします。

お問い合わせは、正倉院文書研究会事務局まで。

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