定期研究会

2025年11月 6日 (木)

第43回定期研究会が開催されました

2025年10月25日(土)、過ごしやすい気候の中、多くの観光客でにぎわう奈良の東大寺総合文化センターで、第43回定期研究会が開催されました。

第1報告の野尻忠氏「『中聖武』と呼ばれる一群の写経について」は、荼毘紙に書写され、「大聖武」と並び聖武天皇の宸筆と伝えられる「中聖武」の由来を論じました。巻末の紙背に記された経師の名前が正倉院文書に残る今更一部経の写経事業の帳簿と一致すること、さらにその帳簿から別の経師が書写したことが判明する今更一部経の現存経巻と「中聖武」の筆跡が一致することを根拠に、「中聖武」が宝亀5~6年に書写された今更一部経の一部であることを明らかにしました。

第2報告の山口英男氏「『正倉院文書調査関係資料』に関する共同研究の概要」は、東京大学史料編纂所の特定共同研究の紹介でした。史料編纂所では正倉院文書の調査を継続し、その成果をまとめた『正倉院文書目録』を刊行しています。しかし本書には確定的な情報のみが記載されるため、調査者が調書や写真帳に記した所見がすべて反映されるわけではありません。実物調査が難しい史料群でもあり、調査所見は貴重な研究資源ということができ、その保存や公開の方法を検討していることが報告されました。

第3報告の山下有美氏「天平15年5月からの五月一日経」は、天平15年5月以降の五月一日経写経における書写方針と指導者を明らかにし、写経事業の性格を捉えなおすことを目指した報告でした。写経所文書を通時的に検討されてきた研究蓄積をもとに、五月一日経事業は単に「あらゆる仏典をすべて集めた一切経」ではなく、書写事業の各段階の指導僧による選択・判断が大きく影響した一切経であったことを論じました。五月一日経の通説をくつがえす意欲的な報告に、会場での議論も盛り上がりました。

第4報告の田島公氏「正倉院伝来木簡に見える『勅立物所』について」は、正倉院中倉「雑札」第1号木簡に記された「勅立物所」について、2003年に報告者が提唱した「立」を「旨」の異体字とする「勅旨物所」説を撤回するものでした。「勅旨物所」と解釈されたことで、「勅旨省」の前身官司とする説などにも影響を与えてきましたが、「勅立物所」は天皇が用いる礼冠などの部品を製作する部署であったとの新見解を提示されました。

研究会には47名の参加がありましたが、今年は若い学生・院生の参加が目立ち、今後ますますの研究会の発展を予感させてくれました。

次回は、2026年10月24日(土)午後、奈良市内での開催を予定しております。

2024年9月26日 (木)

2024年度定期研究会のおしらせ

2024年度(第42回)定期研究会は、下記のとおり開催いたします。皆様お誘い合わせの上、ご参加ください。

                     🐱

日時:2024年11月2日(土) 13:00~16:30
会場:東大寺総合文化センター小ホール(奈良市水門町100番地)
    ※東大寺南大門を入ってすぐ左手の建物です。

     アクセスマップ→http://www.netz.co.jp/joruri/kinsyouhoru.pdf

                     🐱

研究報告
阿部栞央「正倉院文書における「人名+所」の基礎的考察」
内田敦士「正倉院文書と仏教儀礼」
市川理恵・吉田恵理「静嘉堂所蔵「仏説中心経」と民屯麻呂の筆跡」
矢越葉子「写経帳簿からみた敦煌文書―正倉院文書との比較を通じて―」(仮) 

                       (順不同 敬称略)
16:20~16:30 総会
17:00~ 懇親会 チャイナダイニング 飛天(奈良県奈良市東向南町26)

研究会に参加される場合は、以下のリンク先の参加申込フォームからお申込みください。
【 10月28日(月)締切 】

参加申込フォーム: https://forms.gle/XJA94JfmoDWBWEf47  

※会員にはEメールにて案内文をお送りしております。
※年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします(当日のお支払いはご遠慮ください)。

                     🐱

非会員の方のご参加も歓迎いたします(当日は会場整理費〈500円程度〉が必要です)。
正倉院展会期中のため、奈良市内での宿泊は混雑が予想されます。宿泊をご予定の方は、早めの確保をお願いします。
お問い合わせは、正倉院文書研究会事務局までお気軽に。
 shosoinkenkyukai★gmail.com(★を@に代えてください)

2024年7月 8日 (月)

第42回定期研究会の予告

2024年度定期研究会は、下記の日程で開催いたします。
研究会終了後には懇親会も予定しております。ふるってご参加ください。
正倉院展もあり、奈良は大変混雑する時期です。
宿泊をされる場合には、早めに宿舎を確保されることをお勧めいたします。
          *  *
日 時:2024年11月2日(土)午後1時より
場 所:東大寺総合文化センター(奈良市)
報 告:
阿部栞央「正倉院文書における「人名+所」の基礎的考察」
市川理恵・吉田恵理「静嘉堂所蔵「仏説中心経」と民屯麻呂の筆跡」
内田敦士「正倉院文書と仏教儀礼」
矢越葉子「日中写経所文書の比較検討」
              (順不同、敬称略、いずれも仮題)

2024年5月24日 (金)

2024年度定期研究会の予告

今年度の定期研究会は、下記の日程・場所で予定しています。

日時:2024年11月2日(土)午後

場所:奈良市内

インバウンドの影響もあり、年々宿泊の確保が難しくなっております。

遠方からご参加の場合は、早めの確保をお願いいたします。

2023年11月15日 (水)

第41回定期研究会が開催されました

2023年1028日(土)に、第41回定期研究会が開催されました。

                🌙

1報告の平山茉侑「聖武太上天皇の御葬と蓮華蔵世界往生」は、天平勝宝8歳(756)の聖武太上天皇の葬列に純金観世音菩薩像が加わっていたこと、観世音菩薩が蓮華蔵世界への往生を導く存在とされていたことから、聖武が菩薩として、みずからと民との蓮華蔵世界への往生を欣求していたと論じました。観音像が聖武の柩を先導する葬列は、地理的に東大寺大仏へ向かうことになり、聖武の蓮華蔵世界への往生を視覚化する演出であったとする指摘は、東大寺を会場に開催された今回の研究会参加者として、目に浮かぶような実感を覚えました。

2報告の佐々田悠「聖語蔵の成立について—近年の調査から―」は、今年3月に公表された経蔵「聖語蔵」にかかる調査成果(清水真一ほか「正倉院聖語蔵(旧尊勝院経蔵)調査報告」、星野安治「正倉院聖語蔵(旧尊勝院経蔵)の年輪年代」『正倉院紀要』第45号)を踏まえて、この新たな知見を紹介するとともに、経蔵としての聖語蔵、および経巻群としての聖語蔵の成立を史料から跡付けるものです。正倉院文書とのかかわりでは、現在の聖語蔵経巻に至る経巻群のいくつかの移動ルートが示されたことに加え、その過程で失われた奈良朝写経を補うために新たに書写・収集された経巻が乙種写経ではないかという指摘に興味を惹かれます。

3報告の栄原永遠男・渡部陽子・濱道孝尚「Shada(シャダ、写経所文書データベース)の作成とその経過」は、今年5月に公開された正倉院文書の新たなデータベースShadahttps://www.lit.osaka-cu.ac.jp/new-departure/project-shada/)の概要を紹介し、使用方法をデモンストレーションを通じて示しました。先行するSOMODAで採用した「短冊」単位での史料把握に加えて、個別写経事業研究の成果に基づき、その史料を形成した写経事業を明示する点が特徴です。今後も整備を進めていくとのことですが、Shadaを活用することで、その史料が属する個別写経事業や関連史料がたちどころに判明する点で画期的といえます。

4報告の山口英男「『正倉院文書目録』第9冊編纂トピック」は、今年3月に公刊された『正倉院文書目録』第9冊(続々修4(第1316帙))の紹介を兼ねて、原本調査によって判明した新たな知見を個別に取り上げました。第15帙第4巻②(7)裏~(5)裏では裏うつりした文字から新たな釈文が判明し、また裏面の糊跡から判明したもともとは器物に貼付されていた文書(第16帙第2巻・第7巻)の存在など、原本の観察によってしか知りえない情報を共有することは新たな研究の視角をもたらすことでしょう。

                🌙

今年は正倉院展も賑わいをとり戻していましたが、研究会の参加者も38名と盛況でした。

次回は、2024年11月2日(土)午後、奈良市内での開催を予定しております。

 ※例年より1週間遅い開催です。お間違いのないように。

2023年9月27日 (水)

第41回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催いたします。皆様お誘い合わせの上、ご参加ください。

                     🐱

日時:2023年10月28日(土) 13:00~16:30
会場:東大寺総合文化センター小ホール(奈良市水門町100番地)
    ※東大寺南大門を入ってすぐ左手の建物です。
     アクセスマップ→http://www.netz.co.jp/joruri/kinsyouhoru.pdf

                     🐱

研究報告:
平山茉侑「聖武太上天皇の蓮華蔵世界往生と御葬」(仮)
佐々田悠「聖語蔵の成立について―近年の調査から」

栄原永遠男・渡部陽子・濱道孝尚「ShaDa(シャダ、写経所文書データベース)の作成とその経過」
山口英男「『正倉院文書目録』九刊行報告」 
            (順不同 敬称略)
16:20~16:30 総会
※懇親会はありません。

研究会に参加される場合は、下記研究会事務局アドレスへ10月20日(金)迄にご連絡ください(会員・非会員とも)。
shosoinkenkyukai★gmail.com(★を@に代えてください)

※会員にはEメールにて案内文をお送りしております。
※年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします(当日のお支払いはご遠慮ください)。

                     🐱

非会員の方のご参加も歓迎いたします(当日は会場整理費〈500円程度〉が必要です)。
正倉院展会期中のため、奈良市内での宿泊は混雑が予想されます。宿泊をご予定の方は、早めの確保をお願いします。
お問い合わせは、正倉院文書研究会事務局までお気軽に。
 shosoinkenkyukai★gmail.com(★を@に代えてください)

2022年11月 2日 (水)

第40回定期研究会が開催されました

2022年10月29日(土)に、第40回定期研究会が開催されました。

                    🎪

第1報告の井上翔氏「具注暦からみる文書行政」は、まず正倉院文書中に3点残る具注暦と各地から出土する漆紙文書として残る具注暦をもとに、官司内で利用する暦は陰陽寮の頒暦に基づいて官司内で書き写していたことを確認。また木簡の事例から、必要な箇所を抄写し、あるいは官司内で掲出していたと思しき事例を紹介し、7世紀に遡る事例もあることから、諸国に対する頒暦の開始時期についても論及しました。

第2報告の小菅真奈氏「奈良時代の本人確認について―沙弥実進度縁を中心に―」は、沙弥実進度縁(案)と延喜玄蕃寮度縁式の書式の比較を通じて、同度縁(案)が正文の正確な写しであることを確認し、その上で黒子の位置にかかる「額中上一鼻折上一」の文字が追記風に書かれている点に着目。従来の研究では戸籍や計帳からの引き写しであるとされてきた黒子記載を、度縁を授与するまさにその現場で得度者の身体的特徴を書き込んだ文字そのものを反映したものと指摘します。さらに計帳の日に本人を目の前にして身体的特徴を追記している因幡国戸籍の事例や、複数箇所の黒子を記載する奴婢見来帳の事例をもとに、黒子を記載する場やその意味について考察しました。

第3報告の森明彦氏「正倉院仮名文書乙試読」は、石山で書写された奉写大般若経の食物用帳の紙背に転用されて残る仮名文書乙について、これまでの正倉院文書研究の成果を踏まえ、石山に到来したのち上馬養の手元で保管されていた文書であるという前提で、仮名文書乙の解釈を試みました。石山寺造営については米の収納にかかる史料が欠けていることから、これまで封租米の徴収や官人の私経済の活用のように様々な観点から論じられてきましたが、新たな角度から米の入手方法を論じる内容といえます。乙文書との関連性が指摘されている甲文書の解読に加え、特異な経路によって入手した米をどのように帳簿に記載していたのか等、今後の展開に興味が尽きません。

第4報告の山口英男氏「小川八幡神社大般若経の調査概要」は、2019年度から3年間にわたって史料編纂所の特定共同研究として実施した小川八幡神社大般若経の調査成果にかかる概要報告。同大般若経には少なくとも奈良時代書写経が4種、平安時代書写経が3種含まれていることが判明していますが、今年度からの特定共同研究でも引き続き調査されることから、さらなる成果が期待されます。

                    🎪

3年ぶりの会場での開催となりましたが、36名の参加を得ることができました。

次回は、2023年10月28日(土)午後、奈良市内での開催を予定しております。

2022年10月 4日 (火)

第40回定期研究会のおしらせ【終了しました】

本年度の定期研究会は、下記のとおり開催いたします。皆様お誘い合わせの上、ご参加ください。

                     

日時:2022年10月29日(土) 13:00~16:30
会場:東大寺総合文化センター小ホール(奈良市水門町100番地)
    ※東大寺南大門を入ってすぐ左手の建物です。
     アクセスマップ→http://www.netz.co.jp/joruri/kinsyouhoru.pdf

                     

研究報告:
井上翔「具注暦よりみる文書行政」
小菅真奈「奈良時代の本人確認についてー沙弥実進度縁案を中心にー」
森明彦「正倉院仮名文書乙試読」
山口英男「小川八幡神社大般若経の調査概要」
(順不同 敬称略)
16:20~16:30 総会
※懇親会はありません。

研究会に参加される場合は、下記研究会事務局アドレスへ10月20日(木)迄にご連絡ください(会員・非会員とも)。
shosoinkenkyukai★gmail.com(★を@に代えてください)

※会員にはEメールにて案内文をお送りしております。
※年会費納入につきましてもよろしくお願いいたします(当日のお支払いはご遠慮ください)。

                     

非会員の方のご参加も歓迎いたします(当日は会場整理費〈500円程度〉が必要です)。
正倉院展会期中のため、奈良市内での宿泊は混雑が予想されます。宿泊をご予定の方は、早めの確保をお願いします。
お問い合わせは、正倉院文書研究会事務局までお気軽に。
 shosoinkenkyukai★gmail.com(★を@に代えてください)

2021年11月 5日 (金)

第39回定期研究会が開催されました

2021年10月30日、オンラインではありましたが、2年ぶりの定期研究会が開催されました。

                 🚗

第1報告の村上菜菜氏「古代東大寺領荘園関係文書および図に記された「村」」は、東大寺が所有権を主張するために作成した荘園関係史料に、「村」が書き込まれた理由を追究しました。「村」が税の収取単位で、地方社会を構成する一単位であったためとしました。

第2報告の浦木賢治氏「静嘉堂所蔵古写経群の概要と調査に関する中間報告」は、古写経の伝来の経緯を考察したもので、滅多にお目にかかれない静嘉堂所蔵の長屋王願経・五月一日経・神護景雲経・善光朱印経などを、鮮明な画像とともに紹介しました。

第3報告の三野拓也氏「造石山寺所の雇用労働力」は、造石山寺所関係文書にあらわれる「雇工・雇夫・様工」などを分析しました。材木の伐採と製材、運漕と組み立て、塗装、檜皮の採取と葺作業など、石山寺増築工事を支えた労働力の実態をあきらかにしました。

オンライン開催ということもあり、米国や韓国・シンガポールなど海外からの参加を含む、計70名の参加がありました。 

                  🚗

次回は、2022年10月29日(土)午後、奈良市内での開催を予定しております。

2021年9月16日 (木)

第39回定期研究会のお知らせ(参加申込方法)

2021年度定期研究会は、下記の要領で、オンライン開催いたします。

ぜひご参加ください!

              🎵


【日程】2021年10月30日(土)13時~16時45分

   13:00ー16:15 研究報告

    村上菜菜「古代東大寺領荘園関係文書および図に記された「村」」

    浦木賢治「静嘉堂所蔵古写経群の概要と調査に関する中間報告」

    三野拓也「造石山寺所の雇用労働力」(仮) ※敬称略

   16:15-16:45 総会

【開催方法】オンライン(ZOOM)※参加登録いただいた方に、前日までに招待メールをお送りします

【参加方法】参加には事前登録が必要です(会員・非会員とも)

      下記サイトからお申し込みをお願いします(10月27日正午締切)

      ☞ https://forms.gle/EnaDH1JfmWSzdkXe6

     *本年度の参加費は無料です。

       *非会員の方も参加可能です。

       *参加者への情報提供を希望される場合は、参加申込の際に「そのほか連絡事項」欄にご記入ください。

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