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刊行物

2018年9月12日 (水)

『正倉院紀要』第40号が刊行されました

『正倉院紀要』第40号が刊行されました。
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin

                 

目次
正倉院宝物特別調査 麻調査報告
      ………………………………増田勝彦・ひろいのぶこ・岡田文男・有吉正明                     
年次報告
正倉院の繊維製品と調庸関係銘文―松嶋順正『正倉院宝物銘文集成』第三編補訂 前編
      ……………………………………………杉本一樹
月借銭解に関する基礎的考察……………………栄原永遠男

                 

 正倉院文書に関する論文が掲載されています。栄原論文は、宝亀年間の月借銭解を関係資料も含めて網羅的に検討した研究報告です。原本の詳細な観察を踏まえて、個々の月借銭解がどのように事務処理され、反故となり、さらに現状の姿に整理されたのかを、具体的に明らかにした成果として注目されます。奉写一切経所の案主であった上馬養の強い勧誘によって、ほとんどの写経生が月借銭を借りていたとの想定も示されています。
 杉本論文は、特別調査「麻」の報告と連動した銘文集成の最新版です。麻布に記された銘文を新たに調査・検討した成果として、新規の釈文や読みの訂正が見られます。また、銘文の部位の記述に力が注がれているのが特徴です。部位は文字内容を理解する上で欠かせず、貴重な情報と言えるでしょう。

 そのほか、年次報告では腹内に「乙亥之年」との墨書を有する金銀平文琴や、吹絵紙、木札の付属する薬袋、経帙などについての調査結果が示されています。

2017年10月30日 (月)

『正倉院文書研究』15号が刊行されました

会誌最新号が刊行されました。

                   

正倉院文書研究会編『正倉院文書研究』15号
吉川弘文館、2017年10月30日出版 定価:本体6,000円+税

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b313253.html

                   

写経所の財源とその変遷                  市川理恵
東大寺所蔵経巻の検討
―「神護景雲二年御願経」と正倉院文書を手がかりに―
                                  矢越葉子
続々修第四十七帙第一巻の断片復原と基礎的考察  武内美佳
正倉院文書に見える奈良時代の軸について
―生産、供給と需要、流通と交易―
                                   長島由香
写経所における給食の復元                 三舟隆之
正倉院文書ワークショップ参加記             中村憲司
正倉院文書ワークショップ参加記             濱道孝尚
口絵 大般若経(魚養経)巻第二百五十一(解説)   野尻 忠

2016年5月24日 (火)

『正倉院紀要』第38号が刊行されました

正倉院のホームページにて、全文をPDFファイルで読むことができます。
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin

                      

目次
特集 正倉院正倉整備工事 まえがき……………………杉本一樹
正倉院正倉整備工事の報告……………………………春日井道彦
正倉院正倉の奈良時代平瓦をめぐる諸問題…………岩永省三
年輪年代法による正倉院正倉の建築部材の調査(3)…光谷拓実
正倉院宝庫修理の歴史と自然災害……………………飯田剛彦
正倉の鎮守について……………………………………春日井道彦
年次報告

                      

今回の特集は、2011~14年におこなわれた正倉院宝庫の整備工事に際して、新たに得られた知見をまとめたものとなっており、読みごたえがあります。
春日井論文や岩永論文によると、平瓦の製作技法について、東大寺造営の頃には「桶巻作り」から「一枚作り」に移行していたとの「常識」に反し、今回の調査では、正倉院宝庫に残る奈良時代瓦の実に70パーセント以上が桶巻作りだったことが判明したそうです。それを瓦の状態の良し悪しによる残存率のなせる結果とみるか、東大寺造営に先行する建物からの再利用とみるか、あるいは製作技法の年代観自体を見直す必要があるのか。興味は尽きません。その他にも、奈良時代の瓦工たちの手の痕跡が瓦に鮮明に残されている様子は驚きですし、また整備後の宝庫屋根のどの部分にどの時代の瓦が葺かれているか、一目瞭然の挿図も興味深いものです(古い瓦を見たければ南面を見るべし!)。
飯田論文は、従来の研究では見逃されてきた鎌倉時代後期の修理についての史料を指摘するなど、新知見も多く交えながら、宝庫修理の歴史を描いていきます。近年特に注目される自然災害と文化財保護という視点からも、示唆するところの多い一文となっています。
年次報告では、正集に見える国印の印肉材の調査結果が示されています。

2015年11月13日 (金)

正倉院文書研究14号が刊行されました

会誌最新号が刊行されました。

                    

正倉院文書研究会編 『正倉院文書研究』 14号 

吉川弘文館、2015年11月13日出版 定価:本体4,500円+税

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b209215.html

                    

◇◇ 目 次 ◇◇

南部 曻  御野国戸籍の「妾子」

石上英一  『東大寺要録』巻一所引延暦僧録文「仁政皇后菩薩」伝について

堀部 猛  日本古代の勘籍制

杉本一樹  皆川先生と正倉院古文書調査

渡部陽子  書評と紹介 尾形充彦著『正倉院染織品の研究』

口絵 赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾裏打文書(解説 飯田剛彦)

2015年9月 1日 (火)

『正倉院文書と下級官人の実像』(市川理恵・著)が刊行されました

正倉院文書に関する研究書が刊行されました。本研究会で報告された内容も含まれています。

                          

Photo市川理恵著『正倉院文書と下級官人の実像』

 

同成社 古代史選書 15 2015年8月刊 6000円

――膨大な正倉院文書を詳細に解読し、古代国家の運営を支え富を築いた実力者達の実像を描き出し、「貴族に虐げられた下級官人」という従来像を覆す画期的労作。――

http://homepage3.nifty.com/douseisha/rekisi/kodai/sennsyo/sennsyo.html#kodai15

2015年4月28日 (火)

『正倉院紀要』第37号が刊行されました

正倉院のホームページにて、全文をPDFファイルで読むことができます。

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin

                        

目次

[正倉院宝物特別調査]毛材質調査報告……竹之内一昭・奥村章・福永重治・向久保健蔵・実森康宏・ジョリー ジョンソン・本出ますみ
年次報告
[宝物随想]玉箒の揺らぎ……………………阿部弘

                               

毛材質調査報告では、筆・伎楽面・塵尾その他・毛氈といった毛を使用した宝物について、毛材質や技法について検討を加えたものです。私などは初めて知ることばかりだったのですが、たとえば筆は5段構造になっており、多くは5段とも同種の毛(兎・狸・馬など)を使用しているものの、天平宝物筆などは層ごとに別種の毛が使用されているそうです。他にも、鯨鬚とされていたものが猪毛や馬毛であったとか、中央アジア地域の伝統的技法を参考に、フェルトの文様技法についての理解が正されるなど、興味深い指摘が満載です。中央アジアでのフェルト制作の様子を撮影したスナップや、わかりやすい模式図、豊富な写真図版によって、専門外の読者にも大変丁寧な報告となっています。

 

年次報告には、正倉院展公開講座における2講演(佐々田悠氏「慶長櫃が語る正倉院の歴史」/成瀬正和氏「正倉と正倉院宝物―守る・伝える―」)の概要が掲載されています。

 

 

 

 

2015年2月26日 (木)

歴博研究報告「正倉院文書の高度情報化研究」特集号が刊行

国立歴史民俗博物館で進められてきた、正倉院文書の研究プロジェクトの報告書が刊行されました。研究代表者の仁藤敦史さんから、ご紹介いただきます。

                          

人間文化研究機構連携研究「正倉院文書の高度情報化研究」特集号

     仁藤敦史編『国立歴史民俗博物館研究報告』192集
            (2014年12月刊、全238頁)

※歴博振興会では、定価2000円・送料350円で取り扱っています(歴博HP参照)。

 2010年度から2014年度までの5ヶ年にわたる人間文化研究機構連携研究「正倉院文書の高度情報化研究」についての報告書。内容は2013年1月26日に東大寺で開催されたシンポジウムの報告内容をまとめた予稿集及び、2011年11月4日に韓国国立中央博物館企画展示で正倉院文書が展示されることに連動して開催された講演会の要旨集『正倉院文書の世界』(韓国中央博発行・ハングル語、2011)を基礎としている。正倉院文書研究の動向および各研究機関の研究成果の総括などを含み、さらなる高度利用をめざす報告書を意識して編集した。
 なお、正倉院文書の表裏をパソコン画面上で一覧できる「正倉院文書自在閲覧システム公文編」は、来館時の即日閲覧が可能となりましたので、これも一度熟覧していたたければ幸甚です。

【目次】

仁藤敦史    研究の概要
栄原永遠男    正倉院文書研究の現状と課題
山下有美     写経所文書研究の展開と課題
富田正弘     古代文書様式の中世への展開①

〔研究ノート〕
山下有美     正倉院文書の性格とその特質
飯田剛彦     三つの山辺諸公手実をめぐって
今津勝紀     古代家族の復原シミュレーションに関する覚書
高田智和     ヲコト点の座標表現
倉本一宏     摂関期古記録データベースをめぐって
後藤真      正倉院文書のデジタル化の意義と課題
安達文夫・鈴木卓治・仁藤敦史
                  超高精細画像自在閲覧方式を適用した正倉院文書の調査研究支援閲覧システム

〔調査研究活動報告〕
栄原永遠男  大阪市立大学栄原ゼミにおける写経所文書研究
山口英男    史料編纂所と正倉院文書調査
佐々田悠    正倉院事務所における古文書調査のあゆみ
仁藤敦史    正倉院文書研究と歴博複製事業の役割
小倉慈司    『正倉院文書拾遺』後の庫外正倉院文書
稲葉蓉子・林友里江   正倉院文書データベースの概要と課題

2014年4月28日 (月)

『正倉院紀要』第36号が刊行されました

正倉院のホームページにて、全文をPDFファイルで読むことができます。

正倉院HPhttp://shosoin.kunaicho.go.jp/shosoinPublic/top.do

                   

目次

乾漆伎楽面の報告にあたって…………………………成瀬正和

正倉院乾漆伎楽面の構造・技法についての研究

  ―試作・実験による考察―………………山﨑隆之・岡田文男

乾漆製伎楽面の製作技法

  ―乾漆第20号を中心として―……………………山片唯華子

正倉院所在の法隆寺献納宝物染織品

  ―錦と綾を中心に―………………………………沢田むつ代

年次報告

                      

年次報告では、新たな発見として、幡の脚端飾りに用いた錦の裏打ちとして使用された、幡製作に関する文書を紹介しています。また薬袋に残る墨書についても報告されています。

沢田論文が扱うのは、正倉院に残された法隆寺裂。明治の廃仏毀釈の風潮のなか、法隆寺の寺宝は皇室へと献納され、一時的に正倉院に仮納された後、東京の博物館へと移されました。ところが正倉院から搬出する際、染織品を納めた櫃が取り違えられ、法隆寺献納宝物の一部が正倉院に残り、正倉院宝物の一部が法隆寺献納宝物とともに東京に運ばれてしまいます。その後、それぞれ整理作業が進められて、今ではすっかり混ざってしまいました。本稿では宝物写真による詳細な調査から、正倉院所在の染織品から法隆寺由来のものを判別するという、興味深い内容です。今後は献納宝物から正倉院裂を明らかにする予定とあり、期待が高まります。

2013年10月24日 (木)

『正倉院文書研究』13号が刊行されました

会誌最新号が刊行されました。

                       

正倉院文書研究会編『正倉院文書研究』13号 

吉川弘文館、2013年10月23日出版 定価:本体8,500円+税 

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b122513.html

                       

◇◇ 目 次 ◇◇

口絵 万昆嶋主解<天平宝字二年七月二十八日> 紙背 写千巻経所 食物用帳断簡(解説 野尻忠)

小川靖彦  天平初期における呉桃紙を用いた体系的経典書写

          ―山階寺西堂経の意義―

山下有美  校経における勘出・正書の実態と布施法

渡部陽子  正倉院文書にみえる帙

桑原祐子  道豊足の人事 ―あいまいな表現の背景―

濱道孝尚  写経所における「私書」の書写 ―奈良朝官人社会に関する小論―

山口英男  正倉院文書から見た「間食」の意味について

丸山裕美子 尾張名古屋の正倉院文書 ―庫外流出正倉院文書の行方―

栄原永遠男 岸俊男の正倉院文書研究と皆川完一

西洋子・矢越葉子 「未修古文書目録」と「続々修正倉院古文書目録」の対照表(三)

2013年5月15日 (水)

『正倉院紀要』35号が刊行されました

正倉院のホームページにて、全文をPDFファイルで読むことができます。

正倉院HPhttp://shosoin.kunaicho.go.jp/shosoinPublic/top.do

                   

目次

木画紫檀碁局と金銀亀甲碁局龕…………………………西川明彦

鳥兜様の楽帽に関する復元的考察………………………山片唯華子

年次報告

『国家珍宝帳』に見える屏風の成立について……………米田雄介

正倉院宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶」模造品作成事前調査(楽器本体)調査所見……横山円音

                      

年次報告には、鎮壇具として用いられた品々の出蔵を記録する雑札(倉札)や、墨書のある薬袋などの調査報告が、鮮明な写真とともに掲載されています。

米田論文では、屏風の産地や製作年代を、雑物出入帳や墨書銘文を駆使して詳細に論じています。また山片論文では、残欠となった舞楽の被り物について、脱落した透彫金具の配置を復元して、本来の華やかな姿をよみがえらせています。

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